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堀江信彦

「未熟さゆえの勇気」が一番の武器になる

現在も最前線でマンガをつくり続ける名編集者

堀江信彦/ マンガ原作者・編集者
『週刊少年ジャンプ』の編集者として多くの人気作品を生み、編集長時代に歴代最高部数を樹立。2000年に株式会社コアミックスを設立し、いまも多くの作品を手がけるだけでなく「おもしろさの科学的な分析」などマンガの研究開発にも力を入れる。

現役のマンガ制作現場の実学が学べる

みなさんは、先生が「昔なにをやっていた人か」では評価しませんよね。だから僕は、最前線で戦っている現役のマンガ家や編集者の話を、授業で聞かせたい。僕自身、いまも編集をしたり原作を書いたりしていますし、うちのコミックゼノン編集部と作家の方々が持っている現場のノウハウも提供できると思います。
 たとえば、マンガ家がストーリーを作るのに困ったら、「ピッチ」という作業をします。アイデアを投げ合うという意味ですが、登場人物の役割やストーリー展開を細かい要素に分解して、討論するんです。それをやると、どこが悪いか、どこが良いか丸裸になる。僕は編集者時代からやっていたことだけど、やり方を知らない人も結構いるんじゃないかな。でも、ハリウッドで映画をつくる人も、みんなピッチをやっていますよ。
 ほかにも、『シティーハンター』の北条司が1枚のポスターを描く過程を収めた30時間の映像があるので、それを1年かけて解説しようと思っています。まずみなさん、そのスピードの速さにおどろきますよ。でもそれがなかったら、連載はできない。実際の現場で、どのくらいの速さが必要か、ハッキリわかると思います。
 それと、僕は出版社を経営して雑誌をつくっています。だから学校とメディアが合体したカリキュラムになるし、より現場感覚に近い授業になると思います。ラフ&ピース専門学校に入る=出版社に持ち込むのと同じ状態になる。入学した時点で現役の編集者が待っていて、そこから実践的な勉強をしていくわけです。教える側としても、学校に2年間通ったら、マンガ雑誌に読み切りが1回載るくらいには育てたいし、そこまで持っていかなきゃ意味がない。その点では、私たちならではの実学を提供できる自信があります。
多くの作家と二人三脚で作品を作り続け、キャリア30年以上のベテラン編集者

マンガを沖縄でやることの意味

やっぱり海外に目を向ければ、アジアの人にとって沖縄は玄関口というか、距離が近いですよね。そういう意味では、ロケーション的にいいのかなと思います。アジアのいろんな生徒を受け入れるという意味でも、そこからアジアに広がっていくという意味でも、いいロケーションだなと。
 何かを学ぶときには、同好の士がいる場所に行かないとダメだと思うんですね。予備校だって、大学だって、みんな一緒だと思うけど、同じことを学ぼうとする人が集まるから上手になる。東進ハイスクールの社長は友達なんだけど、彼もはっきり言ってましたね。要するに自分たちは、そういう人たちが集まる場所をつくっているだけだと。やっぱりそういう人たちが集まって、一緒に勉強しないと、くじけたりしてしまう。同好の士が集まる場所はどこでも構わないんだけど、沖縄は生活費が安いし、1年中あったかいし、そういう意味では最適だと思うな。ただ、人混みのなかのほうが創作意欲は湧くと思うから、人里離れたところではエンターテインメントの創作は難しい、いくらか人がいる場所でないと。そういう意味では、この学校は那覇の国際通りだから、いい場所だと思いますね。
 言葉のカベがなかったら、日本のマンガも小説も、もっと世界中で読まれてますよ。でも、たいして読まれてないでしょ。アニメーションになると別ですけどね。なぜなら吹き替えで声優の演技が入るから言葉のカベを越えやすい。だから、サイレントマンガにはセリフがないんです。言語が入った瞬間に、国境を越えなくなっちゃうから。マンガのむき出しの才能があるかどうかは、言葉なしで描かせればわかる。そういう才能がある人を集めて、日本のマンガの文法を教えて、あなたの国でヒット作を描きなさいということが大事だと思いますね。

マンガ家に必要なのは体力、継続力、常識力

マンガ家になるには、まず体力。それから継続力が必要です。人間の能力なんて、たいして変わらないから、しつこくやった人が最後には勝つんです。
 常識力も大切です。なぜなら、常識がなかったら非常識は描けないから。常識とは人間との間合い。このくらいで人は笑う、ここまでやったら人は怒る、その間合いがわかってなければマンガは描けません。
 間合いを知るには、実際に作品を描いて、読んだ人の評価を聞くことが大切です。だから、優秀な作家ほど「できるだけ作品をさらせ」と言いますよ。描いたものを世の中に出して、けちょんけちょんに言われれば、すぐにうまくなる。学校は描いたものをみんなで読み合い、遠慮なく意見を言って、作品をさらすことに慣れる場所でもあるべきです。
 本気でマンガ家になりたければ、2年あれば十分に文法は学べます。有名なマンガ家は、だいたい18〜22才でデビューしてますからね。この時期にキモを身につければ、成長は早いと思います。

名ゼリフは若いときにしか描けない

僕からすれば、若い子たちはうらやましい。いまも『北斗の拳』の原哲夫と「堀江さん、昔みたいな名ゼリフって、描けないですよね」っていう会話をしてますから。「俺は君のためなら死ねる」とか、臆面もなくかっこいいことを言い放ってしまう勇気は、若いときにしかない。経験を積んで、現実を知ってしまうと、迷いが生まれてしまうから。  男の生き様とか、名ゼリフが散りばめられた作品は、若くて未熟だからこそ描けるんじゃないかな。未熟だからダメじゃないんです。いつも社会は未熟な人がつくってきたじゃないですか。未熟だから勇気を持って前に進むことができ、それが未来を開くんです。その未熟さゆえの勇気を大事にできる人が、この学校に来てくれることを期待しています。
過去に残した数々の功績にしばられず「いまなにをするか」にこだわり続ける

PICK UPWORKS

月刊コミックゼノン
コアミックス代表取締役のかたわら『月刊コミックゼノン』初代編集長も務めた。ゼノン連載作品の中では北条司や原哲夫作品のプロデュース、『いくさの子』『義風堂々!!』シリーズの原作も手掛けている。

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